ボウリング ローダウン ~独学・苦労したからこそ分かる、シンプルな練習方法「完全版」~
1.導入
ボウリングは老若男女が楽しめるスポーツであり、誰もが気軽に遊べる生涯スポーツです。
いざボウリングをはじめると、周りのマイボウラー(=ボウリング場のボウルではなく、自分のボウルで投げているボウラー)が投げるようなピンに当たる直前で「ギュン」と曲がるボウルに憧れるのはあるあるですよね。始めたてのときはリフトアンドターン(=リフタン、手首をリリース時に横にターンさせることによってボウルを曲げるリリース方法)や、サムレス投法(親指を入れず、ボウルを手首で抱えるようにして投げるリリース方法)で取りかかる方が多いかと思いますが、
最終的に抱くのは・・・
”ハイバックスイングからローダウンで高回転・高スピードのボウルを投げたい!”
という願望ですよね~!
それを実現させようと、YouTubeの動画やネット記事を読むなどして練習しようと思ってもなかなかうまく出来ずに、
「自分にはローダウンは無理なんや、もう諦めよかな」
と何度心が折れたことか・・・
アマチュア・元ストローカーの僕が、ローダウンに転向するまでにも本っ当に苦労したので、プロでも何でもない、苦労した僕だからこそ分かるローダウンの練習方法をお伝えしたいと思ったのが、この記事を書いたきっかけです。
この記事では僕が多数のYouTube動画や記事などを通して研究した中で培ったものを包み隠さず、できるだけわかりやすい言葉で書きたいと思います。
ローダウンでお悩みの方たちを少しでも支えられるような記事を書きたいと思いますので、是非最後まで読んでくださいね!
2.「ローダウン」とは?
「ローダウン投法」は、「ハイレブ投法」(ハイレブ:ハイ・レボリューション=「高回転」の意)とも呼ばれ、リリースする瞬間にカップリスト(=ボウルの下に人差し指・中指が入った状態)を作り、その上でボウルを前に運ぶことによって、カップリストから手首が折れるときに人差し指・中指がボウルに触れている時間が長くなり、それによって高速回転を生み出す投げ方のことです。
ローダウンは見た目もかっこよく、ピンアクションも向上する魅力的な投げ方ではありますが、一番の欠点は、
「習得するのが難しい!!」
なので、この記事を読んで参考にしていただけると嬉しいです!
3.練習方法
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まずは小さいスイングで構わないので、サムレス投法で投げてみましょう。
その時に一番大切なのは、二本指で引っかけようとせず、「ボウルを前に運ぶ」というイメージだけ持つことです。
これによって、ボウルを「撫でる」感覚を養います。
「これの何が意味あるん?」と考えてるそこのあなた!
実はこれすごく大事なんです!
ローダウンのメリットは、「高速回転」です。そのためには少しでも長く、人差し指・中指がボウルに触れている必要があります。
ストローカーの人で、ローダウン練習中の人は特にですが、どうしても「ボウルを引っかけて投げる」癖が出てしまうかも知れません。そうなると何がいけないのか説明したいと思います。
「引っかける」を言い換えると、「自分の意志で、強制的に人差し指・中指を抜く」ということになります。
強制的にボウルに力を加えて2本の指を抜いているので、ボウルに二本指が触れている時間が短くなってしまうのです。そうなるとどうなりますか?
「回転が少なくなる」んです!
意外じゃないですか?引っかけた方が回転がかかりそうなのに、何も力を入れない方が回転がかかるなんて笑
これは見よう見まねじゃ知らなかった事実ですよね?
とりあえず、まずはボウルを手首で抱え、何も力を入れずただボウルを前に運ぶ意識で投げてみましょう。そうすると、力を入れなくても思った以上に回転がかかることに気づくと思います。
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スイングの仕方
「えっ、ローダウンにスイングってそんなに重要なの?」
そうなんです。実はカップリストを作って投げるまでに、スイングがきちんとできていないと、カップリストがうまく作れず、ボウルにきちんと回転を与えることができなくなる恐れがあります。
きっと読んでいる人は今、カップリストの作り方を知りたくて仕方がないかと思いますが、後々苦労することになるやもしれないので、ここは踏ん張って聞いてくださいね。
ストローカーの方たちは自分の胸とピンが正対した状態で投球している方が多いかと思います。その状態からローダウンに転向するとタイミングが合わず、うまく投げることが出来ません。そのメカニズムも詳しく説明させていただきたいと思います。
~ローダウン・スイングのメカニズム~
なぜ、自分の胸とピンが正対した状態でローダウンをするとうまくいかないのかというと、ローダウンはリフトアンドターンの時とは違って、スイング途中で肘を曲げ、曲げた肘を伸ばしてカップリストを作るという、(言い方は悪くなりますが)「余計な動作」が必要になります。そのためにはカップリストを作るまでの動作を余裕を持ってするために、ローダウンの時には、リフトアンドターンの時のスイングよりも長いスイングを取る必要があります。具体的に言うと、ローダウン投法をするときには「ハイバックスイング」が効果的です。
~「ハイバックスイング」の作り方~
ハイバックスイングは自分の胸とピンが正対しているときには出来ません。そのためにどうすれば良いのかというと、5歩助走の時の2歩目、4歩助走の時の1歩目からバランスを取る方の手(この時に手のひらは体の外側を向けるよう意識してください。)を前に出して上半身をひねります。
正対している状態の前後のスイングでは肩の可動域が小さいのでスイングを高くするためには関節の柔らかさが必要になりますが、ボールを横にあげることによってバックスイングが高くとれます。横にスイングをあげるのですが、顔は前に、バランスを取る方の手を前に向けて上半身をひねるので、方向もきちんと狂うこともなくスイングが振れます。
ここで注意してもらいたいのが、スイングは「Tの字」を意識することです。その上で高さを取るために上半身を前傾させます。
なぜ「Tの字」なのかというと、「Tの字」では両方の腕が同じ高さなので、バランスが取りやすいからです。自分の中で意識している前傾方法としては、5歩助走の2歩目、4歩助走の1歩目の足の膝あたりの高さにバランスを取る方の手を置いておくような意識で前傾を作るようにしています。
スイングはまっすぐと言うよりも、若干外側にあげた方がスイングもあげやすく、上半身も開きやすいです。
さらにもう一つだけ自分が意識しているのは、プッシュアウェイというよりも、どちらかというと、5歩助走の2歩目、4歩助走の1歩目の足の膝あたりに「ボウルを置くような意識」で、3歩目・4歩目(4歩助走の場合は2歩目・3歩目)はその「ボウルを追い越す」意識で投球しています。そうすることで体がボウルよりも先行するような意識が生まれるので、自分の体重移動の力をボウルに伝えやすくなります。
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【重要】カップリストの作り方
次はいよいよ山場の、「カップリストの作り方」です。
これが一番の問題で、なぜかというとネット記事やYouTubeの動画などを見ていると、一部では ”リリースの瞬間、ボウルを手首で抱え込むようにして投げる。手首の力がかなり必要となるため、力の弱い女性や高齢者の方では不可能である”、
と記載されていることがあります。
僕はこれは問題があると思っていて、そんなことはないと思います。
これにもコツというものがあって、それさえつかめば誰でもできると思います。
前置きが長くてすみません笑
お待たせしました。カップリストの作り方ですが、作り方は大きく分けて2種類あると思っています。
1つ目は「肘を使ったカップリスト」です。
これは一番手っ取り早くて、練習すればだれでもできるようになります。
カップリストは手首の動作ですが、あれは肘を使った結果として生まれるものであって、肘はカップリストに大きく関係しているのです。
肘を使ったカップリストの作り方を順を追って説明します。
【肘を使ったカップリスト・作り方】
1. スイングの項目で解説したような意識で、プッシュアウェイからバックスイン
グへ移行、そのままダウンスイングへ移行します。
2. ダウンスイングの「途中」で、肘を曲げます。
肘の曲げ方のイメージは、
ダウンスイングの途中で「肘の力を抜くイメージ」です。
肘を曲げるのは大きく曲げる必要はあまりなく、少しだけ、軽く曲げる程度で
十分です。
※ 肘を曲げるのを意識しすぎて、人によってはバックスイングのトップで肘を
曲げてそのまま投球する方がおられると思います。それは投球スピードの低
下につながるので、必ずダウンスイングの「途中」で肘を曲げることを意識
してください。
3. 2.の要領で曲げた肘を自分の軸足の足の真横ほどに向かって伸ばします。
伸ばし方のイメージは、「手の甲で床にパンチするイメージ」です。
4. そのままサムレス投法のように前に向かって、「ボウルを前に運ぶ」ような
意識でリリースします。※ 僕はリリースした後、手は自分の顔の前に持ってくるような意識で投球して
います。
5. リリース後は軸足でスライドした後しっかり止まる意識を持っておく。
(5は回転数を上げ、スピードを上げるためにも大切な項目です)
この1~5の要領でやれば、力がなくてもカップリストが作れ、高速回転を生み出せます。
スピードを高めたいときは肘の曲げ具合を緩くして少し弱めで腕を伸ばし、回転数を高めたいときは肘の曲げ具合を高くし、より強く肘を伸ばすことによって自在に調整できます。
2つ目は「肩を使ったカップリスト」です。
こちらに関してはYouTubeやインターネットなどでもあまり説明がありませんが、ローダウンで高速回転を生み出しながらスピードボウルも投げやすい投げ方です。
1つ目の「肘を使ったカップリスト」で弱点なのがスピードが落ちやすいことです。「肩を使ったカップリスト」と比べると、カップリストを作るまでに時間がかかってしまい、スピードが低下しやすくなってしまいます。
ただ、こちらの「肩を使ったカップリスト」では、習得が少し難しいものの、肩を使うことで一瞬でカップリストが作れるので、無駄な動きが極力少なくしたうえでスピードも高めやすく、何よりスマートにカップリストを作ることが出来ます。特に顕著なのは永野すばるプロやアメリカ・PBAのE.J.タケットプロ、アメリカ・PWBAのダリア・パヨンクプロなどで、他にもPBA・JPBAの中にも多くこの投げ方をしているプロボウラーがいると思っています。
人間の肩は肘・手首と連動しており、肩を使ってやることで動力が肩→肘→手首と伝わり、カップリストが作れるという寸法です。
では「肩を使ったカップリスト」の作り方を順を追って説明させていただきたいと思います。
【肩を使ったカップリスト・作り方】
1. 「肘を使ったカップリスト」と同様に、プッシュアウェイからバックスイング
のトップへ
2. バックスイングのトップからダウンスイングに移る際、普通にスイングすると
肩が下がりますが、それを利き腕の方の肩はバックスイングのトップの時の肩
の高さのまま固定してあげるようなイメージでダウンスイングします。*体操するときに、両方の肩を上げ下げする運動がありますよね?
それを利き腕の方の肩だけやってあげるようなイメージです。
あくまでもこれはイメージなので参考になるかは分かりませんが、体操の時の
ように極端に上に上げる必要はなくて、ただスイング途中に肩を下げてしまう
のではなく、そのままバックスイングのトップの時の肩の高さを固定したま
ま、ダウンスイングしてあげるようなイメージです。3. 「肘を使ったカップリスト」の時と同様に、腕を自分の軸足の足の真横ほどに
向かって伸ばします。
4. そのままサムレス投法のように前に向かって、「ボウルを前に運ぶ」ような意識でリリースします。
※ 僕はリリースした後、手は自分の顔の前に持ってくるような意識で投球して
います。
5. リリース後は軸足でスライドした後しっかり止まる意識を持っておく。
(5は回転数を上げ、スピードを上げるためにも大切な項目です)
以上1~5に則ってやれば、肩を使ってカップリストが作れると思います。
スピードを高めたいときは2の際の利き腕の方の肩の固定を緩くして少し弱めで腕を伸ばし、回転数を高めたいときは肩の固定を高めて腕を伸ばすのを強くしてあげることによって、自在に調整できます。
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脇の締め方
ローダウンの場合は、普通のリフトアンドターンの時とは違って手首が動くので、どうしても脇が開きやすいです。ただ、脇を締めることは強いボウルを投げる上ではとても重要です。
脇を締める方法は自分の中では大きく分けて2つあると思っていて、ここではその二つを書きたいと思います。
1. 構えるときに人差し指・中指の付け根あたりにボウルの重さを感じながらスイ
ングします。
そうすることで肘が締まり、結果的に脇が開くことが抑えられます。
2. 脇が空いてしまう癖がある方は、逆にスライドする足を蹴り足の前か、ないし
は蹴り足の右側(右利きの場合)・左側(左利きの場合)にしてしまうという
方法もあります。脇を締めようとするのではなく、逆にスライドする足を利き
腕に近づけてしまうという、「逆転の発想」です。これによって、体の中心か
らボウルを前に運ぶ意識が生まれるので、強いボウルが投げやすくなるという
メリットもあります。
強いボウルを投げたいとお悩みの方は2の方法も試してみても良いかと思いま
す。
4.まとめ
ここまでローダウン投法で僕なりの練習方法などを書いてきました。
この記事がローダウンにお悩みの少しでも多くの方に届いて、その方たちのローダウン習得の一助になれば幸いです。
長文になりましたが、最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ぜひ、ご自分の練習の中に取り入れてみてくださいね。